DCSとは、Distributed Control Systemの略で、日本語では分散型制御システムと言い、プラント計装工事の一部とされている。
DCSをわかりやすく言うと、工場・プラントを動かすための設備です。
ディジタル計装制御システムの一つでコントローラと呼ばれる制御装置に計算機・マイクロプロセッサを取り入れ、その高度な機能を利用してプロセス制御を行います。
1970年代に半導体技術の発展によりマイクロプロセッサの性能が飛躍的に向上した結果、DCSは登場しました。
プラント計装のDCSをわかりやすく知りたい。
DCSとはどんなシステム?
DCSのメーカーはどこ?
この記事はそんな方へ向けて書いています。
この記事を読むことでわかりやすくDCSの概要、構成、特徴、用途、メーカー、その他疑問がわかります。
わかりやすく理解できるようイラストを作成しました。
はじめまして。
管理人の私(ナナシ)と申します。
DCS設計に失敗したくない方、DCSをわかりやすく理解したい方はぜひ最後まで本記事をご覧ください。
DCSとはプラント計装の分散型制御システム
DCSとは、Distributed Control Systemの略で、日本語では分散型制御システムと言い、プラント計装工事の一部とされている。
DCSをわかりやすく言うと、工場・プラントを動かすための設備です。
ディジタル計装制御システムの一つでコントローラと呼ばれる制御装置に計算機・マイクロプロセッサを取り入れ、その高度な機能を利用してプロセス制御を行います。
1970年代に半導体技術の発展によりマイクロプロセッサの性能が飛躍的に向上した結果、DCSは登場しました。
DCSをわかりやすく言うとプラントを動かしたり、プラントの状況を見たりするためのコンピュータ機器(計装機器)です。
著者のプロフィール(この記事の信頼性)
私は医薬・化学プラントの案件において、DCSの計画、基本設計、実施設計、工事、保全に5年以上関わっています。
転職前はエンジ会社的な立ち位置で、転職後は保全の立場で関わっています。どこのHPよりもわかりやすくDCSを記事に纏めたつもりです。
管理人のプロフィール
- 東証一部大手メーカー(ホワイト企業)勤務
- 資格のおかげで今の会社へ異業種転職
- 工場(プロセス製造)の電気計装担当向け有益情報発信
- 保有資格:電気工事士・計装士・電験3種など独学取得
- Twitterフォロワー 2,150以上
DCSのシステム構成をわかりやすく解説
DCSのシステム構成全体と構成部品を分けて、わかりやすく解説します。
DCSのシステム構成図例
DCSをわかりやすくするために、全体像(周辺設備含む)のイラストを用意しました。
DCSの範囲
DCSの範囲がわかりやすくなるよう、赤枠でDCSの範囲を囲いました。
DCSメーカー/システムベンダーは、赤枠部を構築・保守します。
様々な設備をDCSに組み合わせてプラントは成り立っています。
DCSに関わらない設備のほうがむしろ少ないです。
DCSの構成図の見方をわかりやすく解説
DCSをわかりやすくするために、システム構成図を分割して解説します。
構成図下部に製造現場にある設備を記載しています。
各種計装品(計器)、電動機(ポンプ、ファン、撹拌機)、操作盤、制御盤
左側にDCS、右側に電気設備を記載しています。
矢印は配線を意味しており、設備と設備の間に記載しています。
矢印の向きは信号が流れる方向を表しています。信号が一方向か双方向かがわかりやすくなっています。
DCS盤と自動弁の間に電磁弁盤を記載しています。
DCS盤から弁開閉信号を電磁弁盤に出力し、電磁弁・リレー回路によって、電気信号から空気信号へ変換しています。
その空気で弁を開閉します。
電磁弁盤を記載することで、計装設備の「抜け」がなくなり、信号の変換も図でわかりやすくなります。
電動機はDCSまたは人によって運転・停止されます。
操作盤には自動/手動切替スイッチが付いており、自動を選択している場合、DCSの運転指令によって電動機は自動運転されます。(わかりやすく言うとDCS=自動)
手動を選択している場合、手元の操作盤の運転ボタン・停止ボタンで電動機の試運転ができます。
DCS盤と監視操作PCの間には制御バス(通信経路)がありますが、二重化されているので、2本の線で表しています。二重化をわかりやすい形で表現しています。
DCSの構成要素(ハードとソフト)
さらに、わかりやすくDCSを理解するには、ハードウェアとソフトウェアを分けて考えます。
- ハードウェア
- コントローラ:プラントの制御(信号を入力し、演算をして出力)を行う機器
- 信号入出力部:プラント各所から信号入力、各所へ信号出力
- 操作監視PC:人がプラントを監視する、操作・エンジニアリングするためのPC
- プリンター:帳票、グラフィックの印刷用
- タブレットPC:近年、現場での監視端末としてタブレットPCも活用されている
- ソフトウェア
- OS:Windows等
- パッケージソフト:各社独自開発のソフトウェア(監視、エンジニアリング等)と汎用ソフト
- プロジェクトデータ:プラント毎に作り込みされた(エンジニアリングされた)制御機能、画面、帳票等
タブレットPCの導入が最近は進んでいますが、建物に無線LANの工事が必要です。
プラント計装のDCS特徴をわかりやすく解説
DCSの2つの大きな特徴を以下にわかりやすく説明します。
1.驚異的な稼働率を実現
DCSは、故障しにくい・一部故障しても正常に動作する・故障からいち早く回復する高信頼コントローラにより、プラントの長期安定稼働が可能です。
横河電機のDCSは99.99999%(セブンナイン)の稼働率を誇ります。
参考
横河電機の資料(リンク先、p37、図6.6)によるとCPU部の冗長化構成に独自のpair&spare技術が使用されています。冗長化構成のデュアルシステム、デュプレックスシステムの両方を取り入れています。
コントローラ内部及び周辺の部品(演算ユニット、電源ユニット、通信ユニット、通信規格)は冗長化・オンラインメンテナンスができるように、各社独自に開発されています。
2.制御周期の遂行
私達の身の回りのパソコン、スマートフォンのハードウェア・ソフトウェアは、多少フリーズしても許されます。
一方でDCSの場合、制御周期というものが決まっています。
DCSの制御周期とは、コントローラに信号が入力されて、演算し、出力するのに、超えてはならない時間です。(制限時間)
リアルタイムでプラントを制御しているわけですから、制御周期オーバーやフリーズが許されません。
化学反応の最中にDCS(コントローラ)がフリーズして、温度逸脱などしたら大変です。
演算能力を超えない範囲で、常に演算を止めること無く確実に演算(オンオフ制御、PID制御、工程管理等)を行っているのです。演算能力を超える場合は警告があります。
上記と同様に、制御周期を遂行できるよう、 コントローラ内部及び周辺の部品(演算ユニット、電源ユニット、通信ユニット、通信規格)が各社独自に開発されています。
DCSとは安定生産のために、「絶対にプラントを止めない」をコンセプトにした制御システムです。
それにより、DCSはPLCとの差別化ができています。(PLCはコンセプト・歴史が違います)
計装技術者はプラント(制御対象)に応じて、適した制御システムを選びます。
イニシャル・ランニングにDCSは費用がかかりますが、生産が止まったときの影響・損失に比べれば安いという見方もできます。
DCSのメリット・機能
上記特徴に加え、下記メリット・機能が数多くあります。
- データ記録(ロギング):多数のプロセスデータを周期的・自動的に収集・記憶し、そのデータを目的に応じて演算処理する。市販の表計算ソフトが利用できるものもあります。
- 制御機能の充実:PID制御、ON-OFF制御、カスケード制御、プログラム制御などの古典制御は標準に備わっており、ループごとに割り付けられます。
- 高度演算機能・高度制御の実現:DCS内部、または、外部上位制御システムにて多変数モデル予測制御、ファジー制御、セルフチューニング機能、AI分析・解析等を行い、プロセス制御に反映する(PID制御の設定値等に利用する)ことも一部可能です。
- 保全性の向上:自己診断機能が充実しています。
- 拡張性の向上:制御装置内のハードワイヤリングがないため、ソフトウェア変更のみで対応できます。
- 試運転調整期間の短縮:実プロセスや模擬試験装置がなくても、DCSのシミュレーション機能で制御機能のテストが可能です。
- ネットワークインターフェース:OPC、XML、SQLなども一部対応し、外部システム・サーバとのデータ通信が可能です。PLCともLANケーブル等を用いたプロトコルで通信可能。
- 画面構成の見やすさ:洗練されたメニューツリー、アラート、プラントデータを表示します。
DCSのデメリット
初期費用、保守費用が高いと一般的に言われています。
ハードウェア・ソフトウェアも独自開発品が多く、高いです。
生産が止まったときの影響・損失に比べれば安いという見方もできます。
外注人件費も高いです。1人工(1日あたりの人件費)3万~15万と会社によってバラバラです。
外注人件費が高いですが、プラントオーナーの製造工程に熟知したシステムエンジニアのため、小回りの効いたエンジニアリングをしてくれます。
プラント計装でのDCSの用途
プラント計装でのDCSの用途は以下のようになっています。
DCSが適しているプラント
DCSは以下のプラントに適しています。
- 規模が大きいプラント(中小規模向けDCSも各社から販売)
- DCSが故障すると甚大な被害が出るプラント
- 制御周期が秒単位でよいプラント(流体を扱う上流工程)
- 連続プロセス・バッチ系のプラント
DCSの業種別プラント
DCSは以下の業種のプラントに適しています。
- 電力プラント(送電網と発電所)
- 水処理プラント
- 石油精製プラント
- 化学プラント
- 医薬プラント(原薬工程等の液体系は得意、粉体系やメカトロ制御などは不向き)
- 食品プラント(発酵工程等の液体系は得意、粉体系やメカトロ制御などは不向き)
- タンカーなどの貨物船、船上LNGプラント
DCSのメーカー/システムベンダーと比較
DCSメーカー/システムベンダーの一例を紹介します。メーカー比較は難しいのですが、国内では横河電機がシェア1位と思われます。既存と同じメーカーで選定していくことが多い業界です。(オペレーションの観点から)
- 横河電機(CENTUM センタム):国内トップシェア、様々なプラントに実績多数、医薬にも強い。全世界でCENTUM シリーズは全世界で28,000以上のプロジェクトに導入
- 日立ハイテクソリューションズ(EX):様々なプラント
- アズビル(Harmonas ハーモナス):様々なプラント、空調
- 富士電機(MICREX): 様々なプラント
- 東芝(NV):電力
- 三菱重工(DIASYS):電力
動画で学ぶ:DCSとは?メリット・デメリット
動画でDCSをわかりやすく理解したい人におすすめ。
プラント計装のDCSのQ&A
DCSにまつわるよくある質問をまとめました。わかりやすく回答していきます。
DCSの分散型とは?「D」の意味とは?
分散して配置した制御システムというわけです。
前提として、A工程→B工程→C工程によって、原料から製品を作っていくプラントがあるとします。
A工程はコントローラ①、B工程はコントローラ②、C工程はコントローラ③と別々に分けたほうが、コントローラ故障時のリスクを減らせるからです。
例えば、コントローラ①が故障時は、工程Aのみが影響を受けるので、被害範囲が小さくなります。
全工程(A、B、C)を一つのコントローラで制御する(全部のセンサーやバルブ、ディスプレイ等を一つのコントローラに接続する)と故障した際は、全工程(A、B、C)がストップしてしまいます。
分散して配置した制御システムというわけです。
コントローラ故障時のプラントのリスクとして、
- 生産設備停止
- 化学反応途中での監視制御停止
- 製造記録の記録停止
- 経済的損失
など重大なものが挙げられます。
※上記のシステム構成では、1つの工程、工程Aを想定しています。
「制御は分散。情報は集約。」とするのが良いとされています。
かといって、いくらでも小さく制御範囲を分散していけるわけではありません。
- 管理が難しい
- 保守が難しい
- 経済性が悪い
なども考えられるので、ある程度の工程を1つのDCS(コントローラ)に任せていきます。
DCSの信号の種類とは?(入出力IOとは?)10種類以上あります。
DCSの信号の種類は以下のものがあります。
- 信号の種類
- ハード
- アナログ
- 入力 AI
- 出力 AO
- デジタル
- 入力 DI
- 出力 DO
- パルス
- 入力 PI
- 出力 PO
- アナログ
- 通信
- アナログ
- 入力 AI
- 出力 AO
- デジタル
- 入力 DI
- 出力 DO
- パルス
- 入力 PI
- 出力 PO
- アナログ
- ハード
- ハード:物理的な信号配線(CVV、CVVSケーブル)による信号
- 通信:LANケーブル・同軸ケーブル等での配線、通信プロトコルを利用した信号
- アナログ:あるレンジ(範囲)の数値データ。物理量。
- デジタル:オン・オフ信号
- パルス:短時間のオン信号
- 入力:DCSが受け取る信号
- 出力:DCSが外へ出す信号
例①:測温抵抗体信号(Pt100Ω)をCVVSケーブル1.25sq-3CでDCSに入力する場合、ハードAI 1点と言ったりします。(DCS盤に温度変換器を設置して、1~5V等へ信号変換を行う)
例②:PLCへ機器の運転指令(オンオフ信号)をLANケーブル通信でDCSから出力する場合、通信DO 1点と言ったりします。
DCSのHMI・HIS・POCとは?→メーカー独自用語
HMI:Human Machine Interface プラントを操作監視するPCはHMIと呼ばれます。
HIS:Human Interface Station 横河独自の呼び方です。
日立はPOCです。
プラントの仕事をはじめたばかりのときは、世間一般の言葉かメーカー独自の言葉かわかりませんよね。みんな当たり前のように独自の用語を使います。
DCSとSCADA・PLC計装の違いとは?
当ブログの以下の記事がおすすめです。
比較表でわかる! DCS・SCADA・PLC計装の違いとは?制御監視システムを解説(5選比較)
本記事が面白いと思ったひとは、上記もクリック推奨
計装とは?
以下の記事が参考になります。
【計装を画像4枚で図解】
— ナナシクチナシ@電験3種・エネ管・1級計装士・応用情報・建築設備士・第二種電気工事士 (@nanashi_kuc) April 21, 2022
計装が生み出す価値を知ってもらいたい pic.twitter.com/RGxI73j9EZ
計装図面の種類・文字記号とは?
計装図面の種類・文字記号をわかりやすく記事にまとめました。
計装を勉強したいときは?
わかりやすく計装を勉強したい方はこちら。
計装・制御に関連する書籍
工業計測と制御の基礎―メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる
著者は横河電機(株)出身です。安心感がありますね。
本書は、プロセス制御(PA)とファクトリオートメーション(FA)で使用される応用計測、制御の入門書である。
「計測と制御」の理解に必要な基礎的共通事項に重点を置き、現場経験と応用事例を“解説”として折り込み、また現場で制御を経験していない読者に身近な一般現象と関連させて理解を深めるよう工夫している。
制御理論や詳細なプロセス計装は他書に譲り、現場でのシステム設計、機器選定や改善、保守に役立つノウハウの理解と応用に主点を置いた。
また、現場への機器設置方法や最適制御と各種高度制御の考え方を例を交え紹介している。
機器断面図などのイラストが多く、わかりやすい本で勉強したい人におすすめ
計装屋さんに必要な知識が一通り学べます
計装メーカが書いたフィールド機器・虎の巻―差圧・圧力伝送器/電磁流量計/渦流量計
本書では、プロセス計測について、原理原則よりも、設計上の注意、選定基準、設置上の注意、アプリケーション事例、トラブル事例など体験を活かし、現場に密着した内容を出来るだけ多く盛り込んだ。
またテストの内容やデータも随所に織り込んであり、現場でのトラブルなどで困ったとき、本書をひもとけばヒントが得られる「虎の巻」として、できるだけの工夫をした。
また、これらセンサに係わる主要関連法規や規格についてもプラント計装エンジニアや機器を使用する側の立場に立って巻末に纏めた。
流量計に特化した本。
流量計をこれから勉強する人、さらに知識を深めたい人におすすめ。
職場で一番流量計に詳しくなれます。
プロセス制御システム
本書では、プロセス制御システムの設計の基礎から応用までを、化学工学を専攻していない人にも、順に学んでいけるようにまとめた。
特に、化学プロセスを具体的対象に、物理モデルの構築の仕方をはじめ、プロセス制御の分野から提案されたモデル予測制御や内部モデル制御の基礎的な理論およびそれらの理論と従来のPID制御との関連についても述べている。
プロセス制御システムの設計の基礎から応用までを解説。
特に化学プロセスを具体的対象に、物理モデルの構築の仕方をはじめ、モデル予測制御や内部モデル制御の基礎的な理論等と従来のPID制御との関連について述べる。
おわりに:【DCSとは?】プラント計装での意味をわかりやすく解説
この記事ではDCSの概要、構成、特徴、用途、メーカー、その他疑問をわかりやすく説明しました。
DCSとはわかりやすく言うと、安定生産のために、「絶対にプラントを止めない」をコンセプトにした制御システムです。
DCSとは、Distributed Control Systemの略で、日本語では分散型制御システムと言い、プラント計装工事の一部とされている。
DCSをわかりやすく言うと、工場・プラントを動かすための設備です。
ディジタル計装制御システムの一つでコントローラと呼ばれる制御装置に計算機・マイクロプロセッサを取り入れ、その高度な機能を利用してプロセス制御を行います。
1970年代に半導体技術の発展によりマイクロプロセッサの性能が飛躍的に向上した結果、DCSは登場しました。
今日からあなたはDCSマスターですね。この記事がわかりやすく感じた方はシェアしてください!
コメント