差圧伝送器(差圧式流量計)がよくわからない
この記事はそんな人向けの記事です。
はじめまして、私は1級計装士を一発合格したナナシクチナシです。
- 東証一部大手メーカー(ホワイト企業)勤務
- 資格のおかげで今の会社へ異業種転職
- 工場(プロセス製造)の電気計装担当向け有益情報発信
- 保有資格:電気工事士・計装士・電験3種など独学取得
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この記事を読むことで、差圧伝送器(差圧式流量計)の原理・注意点・校正方法がわかり、貴重な時間とお金を賢く使うことができます。
差圧伝送器(差圧式流量計)の原理
管路にオリフィス(絞り)を挿入し上流側と下流側間の差圧が、流量の2乗に比例することを利用します。(ベルヌーイの定理)。差圧の測定には、差圧伝送器が使用され、開閉演算機能を組み合わせて使用します。
ΔP=k*Q^2 (Q=k’*√ΔP)
ΔP:差圧[Pa]、k:定数、k’:定数、Q:流量[m^3/s]
差圧伝送器(差圧式流量計)はガス、液体、蒸気ラインに使用されます。(最近は渦流量計が差圧式流量計に変わるものとして注目されています。)
構造が簡単で液体、気体、蒸気のいずれにも適用できるので古くから工業用流量計として使用されています。
差圧伝送器(差圧式流量計)の注意点(開平演算)
オリフィスは原理的に流量ゼロで差圧がゼロになる特徴がありますが、導圧配管部や差圧伝送器の誤差が開平演算で拡大され不安定になるため、流量10%(差圧1%)付近でゼロカットし、流量測定レンジの30%以上での使用を推奨しています。(流量がゼロでも流量計のゼロシフト分を積算し続け、大きな積算誤差になる場合があります。この誤差を避けるために瞬時流量が7%または10%以下の時、流量積算を停止するゼロカットなどの対策が必要です。)
差圧式流量計の場合、流量に対し信号が2乗特性のため低流量域積算誤差が大きくなります。(電磁流量計や渦流量計など流量に対して信号がリニアなセンサでは問題ありません。)
差圧式流量計ではゼロ点が+側に1%ずれると実流量がゼロでも10%流れていることになり、そのまま積算するととんでもない積算値になります。これを避けるために、流量信号が7~10%以下は流量ゼロとみなすゼロカット機能が必要です。
差圧伝送器と圧力伝送器の違い
差圧伝送器の低圧側を大気開放すると、圧力伝送器として使えます。圧力伝送器はゲージ圧を測るものです。
差圧伝送器(差圧式流量計)の校正方法
順を追って差圧伝送器(差圧式流量計)校正方法を説明いたします。
- 差圧伝送器、空気式計器調整セット、デジタルマノメータ、ディストリビューター、キャリブレータを接続する
- 下表に従って、差圧伝送器に実際に空気圧力信号[Pa]を入力する(スパン×百分率で圧力信号[Pa]を計算)
- 下表に従って、出力値[mA]を埋めていく
- 出力値が計器の許容誤差内に収まっているか確認する
- 必要に応じてブレインターミナルでゼロ点、スパン、ローカットを調整する
流量[mA] | 流量[%] | 差圧[%] ※1 | 差圧[mA]※2 | 補足※1 | 補足※2 |
---|---|---|---|---|---|
4 | 0 | 0 | 4 | 0^2=0 | 16*0+4=4 |
8 | 25 | 6.25 | 5 | 0.25^2=0.0625 | 16*0.0625+4=5 |
12 | 50 | 25 | 8 | 0.5^2=0.25 | 16*0.25+4=8 |
16 | 75 | 56.25 | 13 | 0.75^2=0.5625 | 16*0.5625+4=13 |
20 | 100 | 100 | 20 | 1^2=1 | 16*1+4=20 |
参考文献(横河電機の方が書かれた本です。)
工業計測と制御の基礎―メーカーの技術者が書いたやさしく計装がわかる (keiso books)
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